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言語教育研究科 インタビュー

世界を探究し、世界に発信する麗澤

日本語教育学専攻

金 廷珉 准教授

金 廷珉 准教授
KIM, Joungmin
日本語教育学専攻

韓国高麗大学文学部日語日文学科卒業、東北大学大学院国際文化研究科研究生入学、東北大学大学院国際文化研究科修士課程修了、東北大学大学院国際文化研究科博士課程修了。著書に「韓国語の引用修飾節の主節化-日本語との対比を通じて-」(『日本語複文構文の研究』)ひつじ書房(2014年)など。

「のだ」文探究の果てしない旅 韓国語と日本語の文法の差異に迫る

「日本語と韓国語の文法の対照」が研究テーマです。日本語と韓国語は文法が似ているとされますが、とりわけ文末で微妙な差異があります。なかでも着目しているのが「のだ」文と呼ばれる原因や理由、根拠などの説明を述べるときなどに使われる文末形式。話し言葉では「んだ」と発音することが多いです。今までの研究では、韓国語よりも日本語の方が使用頻度が高いことがわかっています。たとえば、日本人は「お願いがあるの(ん)です(が)」と表現するケースが目立ちますが、韓国人は「お願いがあります(が)」と言い切る場合が多いです。それはなぜか? 日本人の方が韓国人に比べ、協調性を求めたがるなどいくつかの理由が考えられますが、現段階ではまだ明確な答えを見つけ出せていません。調査では、両国のテレビドラマや小説などに表れる実例を研究材料に活用しています。

このテーマは大学院での博士論文で取り組んだものであり、その時々の研究成果は米国などの国際学会で論文発表(英文)をしてきました。また、国立国語研究所の日本語研究プロジェクトに参加し、5年間に及んだ研究を成果報告書にまとめ現在、出版準備中です。2012年には同研究所主催の第5回NINJALフォーラムに講師として出席し、「日本語と韓国語、どこが似ている、どこが違う」というタイトルで講演を行いました。現在はインターネットやテレビでの言語表現に焦点を絞り、とくにネット社会の拡大で、急激に変化しつつある韓国語の使用実態について研究しています。私の研究が、韓国の日本語学習者に少しでもお役に立つのなら…。学んできたことを社会に還元できたらと思っております。日本人だからこそ気づきにくい日本語の特異性に関する研究テーマが、まだまだ埋もれていると思います。

比較文明文化専攻

黒須 里美 教授

黒須 里美 教授
KUROSU, Satomi
言語教育研究科長

米国ワシントン大学大学院社会学研究科博士課程修了。Ph.D(. 社会学)。ハーバード大学ライシャワー研究所客員研究員などを経て現職。専門は歴史人口学・家族社会学。著書に『歴史人口学からみた結婚・離婚・再婚』麗澤大学出版会(2012年編著)、Similarity in Dierence Marriagein Europe and Asia,1700–1900 e MIT Press (2014年共著)(2015年度麗澤大学学長賞)など

扱うデータは“歴史”ではなく 現在につながる生きた情報

「ユーラシアプロジェクト」のメンバーとして、近代化や都市化、国際化によって変容する以前の欧州とアジア社会の人口と家族に着目し、実証的比較研究に取り組んできました。20年来続く東西5カ国20人の国際共同研究は、MIT Press( 米国)からの Eurasian Population and Family History というシリーズの出版に至り国際的に注目をあびています。昨年度文部科学省「私立大学戦略的研究基盤形成事業」に採択されました。本学を歴史人口学の世界的研究拠点にしようという挑戦です。画期的なのは、欧州中心に展開されてきた人口・家族史研究に東アジアのデータと家族史的視点を取り入れたこと。世帯として記録された徳川時代の宗門・人別改帳は、個人のライフコースにいかに家族や村落がかかわってきたかという分析を可能にしてくれます。現在、江戸時代約200年に生きた10万人以上のライフコースを分析中。長くは8世代の家族の営みまでも追求できる究極のパネルデータで、社会科学研究の新たな開拓が期待できます。

現在、これまで構築してきたデータを、社会科学の多様な領域で活用できるのではないかと試行錯誤中です。本学でもGIS(地理情報システム)などの研究をされている先生方と連携して、時間軸と空間軸をクロスさせた新しい分析を試みたい。歴史という言葉を「過去」とはとらえていません。分析するデータはその時代の人たちの生きた証であり、現在につながっているもの。Linking past to present̶̶過去と現在はつながっており、過去のデータから何を学ぶか。少子高齢化に直面している日本の地域再生に、何らかの形で寄与できれば幸いです。

英語教育専攻

望月 正道 教授

望月 正道 教授
MOCHIZUKI, Masamichi
英語教育専攻

英国スウォンジー大学大学院応用言語学科博士課程修了、エセックス大学修士課程言語・言語学学部応用言語学専攻修了、東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業。著書に『英語語彙の指導マニュアル』大修館(2003年共著)、『新編英語科教育法入門』研究社(2011年共著)など。

英語習熟度予測の研究成果を踏まえ教員養成をテーマに新たな峰へ

2014年3月まで、『技能別及び総合的英語能力を推定する語彙テスト』(平成19-21年度科学研究費補助金対象)の開発研究に取り組んできました。語彙サイズ(量)、語彙構成(知識の深さ)、認知速度の3つの方向で調査し、TOEIC600点以下の英語習熟度下級者の場合、語彙サイズと語彙構成が一体化する関係性がわかりました。しかし600点以上の上級者になると、語彙サイズと語彙構成が分離する傾向が見られました。つまり、英語習熟度が高い人ほど、知っている語彙の量が多い半面で、語彙に対する知識の深さは限られている、あるいはその逆のパターンがあることが判明しました。この研究は他の5大学と共同で進められ、当初意図していた結論を導き出すことができました。

現在、20数年にわたる語彙に関する研究成果を踏まえて、英語教師の養成をテーマに研究活動を行っています。ゼミの学部生に文部科学省が制作した名人と呼ばれる英語教員の授業記録(DVD)を見てもらったあと、どうすればこのような授業展開が可能なのかをディスカッションしてもらっています。その模様をICレコーダに録音し、学生たちの授業の見方の変化や、授業を創造することへの意識化を分析しています。同様に本学卒業生で高校の教員3 年目の英語教師に協力を得て、D V D に彼女の授業を記録し、ベテラン教員たちに見てもらい教育研究に役立ててもらっています。経験の浅い教員へのアドバイスのもと、若い教員がいかに授業内容を変革して、教授法を上達させられるのかを分析中です。

最終的には研究で抽出できたデータを一般化し、大学レベルでの教員養成や研修などに活用させることを目標に掲げています。

院生の視点

猪股 来未さん

猪股 来未さん
INOMATA, Yukimi
日本語教育学専攻博士後期課程3年

本学外国語学部英語学科卒業後、日本語教育能力検定試験に合格し、民間の学校で日本語教師として勤務。その後も香港の日本語学校や東京都内の日本語学校で経験を積む。日本語教育の一層の専門性を高めるために本学大学院に入学。博士後期課程に在籍して研究を進めながらも、本学外国語学部および東京大学日本語教育センターの非常勤講師も務め、教育現場にも取り組んでいる。

指示詞で知る、日本語習得の奥深さ。正解がないのが研究の面白さです。

第二言語習得の分野で、私は日本語の学習者が日本語の指示詞をどう使うか、どう扱うかを研究しています。指示詞の研究というと、学習者が「コ・ソ・ア」の3 項をどう対立させて使用しているのかに目が向きがちですが、実際の使用を見てみると、「こう」「そう」など、指示詞の語彙形式が、初めのうち決まった文脈の中で決まった形で使われており、私は指示詞の語彙形式一つ一つが文脈の中でどう使われ、習得の過程でどう変化しているかという点に興味をもちました。

今まで日本語教師として教室で教えてきた中でも、指示詞の3項の対立を明示的に教えていましたが、学習者が教えた通りに使っていないのは、学習者はこちらが出したルールのみを適用して使用しているわけではなく、文脈に合わせて表現として使い、発達させているからかもしれません。こういう現象が起こっていることを知ったうえで授業をすると、学習者と教授者のお互いのストレスがなくなっていくのではないかと思います。この研究が教室で教えていく上での手がかりや橋渡しになればと思っています。

また、研究は今まで明らかになっていないことを明らかにすることであり、正解がありません。正解だと思われているものでも、見方によっては変わり、最先端の研究で議論されていることもあります。学部で学んだことと院で学ぶことの違いはまさにそこにあるのではないでしょうか。そのような最先端の研究に触れ、広い視野の中で自分の見方を育てていけることが、院で学ぶことの面白さにつながっていると思います。