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佐藤 仁志 教授

佐藤 仁志 教授

佐藤 仁志 教授
SATO, Hitoshi
筑波大学大学院博士課程社会工学研究科修了、博士(社会工学)。研究テーマは「情報通信技術の発達が都市構造に与える影響」。主な実績に「職業間ミスマッチの地域間格差に関する分析(特集・雇用ミスマッチ:概念の整理から)」『日本労働研究雑誌』第54巻第9号などがある。

人口減少が都市にもたらす影響とは?コンパクトシティの形成に向けて

都市経済学の観点で、人口減少と高齢化によって日本の都市がどのように変化していくかを研究しています。日本は2007年をピークに現在、人口は徐々に減少しつつあります。すでに生産年齢人口(15歳以上65歳未満)は減少に転じており、人口減少によって都市の形成内容の変容がいかになるかに注目しています。

これまで人類は人口増加による都市の拡大は経験してきましたが、首都圏のような巨大都市における人口減少による都市の縮退は初めての経験と言えます。そして、日本においては都市拡大は必ずしも計画的に進められてきませんでした。そのため住宅や道路の整備、防災など都市をめぐるさまざまな問題が今日に持ち越されています。この反省点に立ち、都市縮退がもたらす諸々の課題を先に予測し、10年、20年後の都市計画に予測データを活用するというのが研究の眼目です。

現在、首都圏には約3,000万人が生活していますが、2040年までにそのうち100万人以上の人口減少が見込まれており、そうなれば通勤や通学をはじめ、生活するうえで便利ではないところから過疎化することは間違いないでしょう。研究では5年単位で実施される国勢調査をベースに用いながら、GIS(地理情報システム)や社会統計データと噛み合わせて、首都圏を中心に地域ごとの人口減少の予測を分析しています。今後、郊外にあっても鉄道の駅周辺ではその他の地域に比べて人口の減少は比較的緩やかだろうと考えられますから、市町村単位の人口動態はあまり意味がありません。幸い国勢調査などのデータは、さらに細かいエリアである町・字単位で収集できるようになりましたので、手元にある25,000〜26,000件に上るデータを有効に活用しています。世界有数の規模を誇る人口密集地帯である東京・首都圏における人口縮退は、世界的にも今までに例がないケース。私の研究が少しでも未来の都市計画=コンパクトシティの構築のお役に立てれば、という思いで打ち込んでいます。今後は、首都圏以外の日本の都市部における人口減少の動向にも目を向けていくつもりです。

経済学は、人間が生きるこの社会の諸問題を解決するのが最終目標。つまり、この学問を志す者には、およそ人間にかかわりのある多様な事柄に興味を持つことが求められるとも言えます。とりわけ都市経済学は、文明社会を維持するうえで解決していかなければならない諸問題に取り組む価値ある学問です。