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倍 和博 教授

倍 和博 教授

倍 和博 教授
BAI, Kazuhiro
獨協大学大学院経済学研究科博士前期課程経済・経営情報専攻修了、博士(経営学)。豪ボンド大学経営学部客員教授。主な業績に“Deployment of Financial Reporting Theory Based on Global Governance”麗澤大学出版会(2014年)、『CSR会計への展望』森山書店(2008年)、「ESG情報開示に向けた会計情報フローの再編成」『會計』第182巻第2号(2012年)ほか多数。

ESG要因(非財務情報)を財務情報と連係させ、適正な企業価値の評価に結びつける

時代の変化とともに求められる財務会計の今後のあり方を研究しています。経済のグローバル化の進展とともに、各国でのIFRS(国際財務報告基準)の導入に見られるように、財務報告の世界標準化が推進されており、今やIFRSは155カ国で採用が検討されています。日本でも2013年6月、金融庁が日本版IFRSを打ち出しました。しかし、事はそう簡単にはいきません。その国の歴史や文化、国民性、風土と言ったものがありますから、考え方が異なる国ごとに、いかに標準化を図っていくかはこれからの課題です。

財務報告を取り巻く一連の潮流の中で、注目を集めているものにESG(環境・社会・ガバナンス)情報の開示の問題があります。これまで会計学の対象外とされてきた非財務情報=ESG情報が、これからの企業価値に不可欠であるという考え方が世界の経済界、金融市場で広まっており、ESG要因をどのように財務報告の体系に位置付け、適正な企業価値評価に導くかが財務会計の今日的なテーマになっています。CSR(企業の社会的責任)としてもESG情報の開示は重要であり、ステークホルダー(利害関係者)の情報要求を満たせないならば、企業経営の持続性(サスティナビリティ)にとって根幹にかかわりかねません。つまり、企業にとっては事業戦略に結びつく「私的性」の問題であり、同時に投資家にとっては企業評価というよりも、むしろ投資家を超えた1人の人間として、また環境・社会問題として重大な「公共性」のテーマと位置付けられるでしょう。ESG要因を定量データ化し財務情報と連係させて、統合財務報告を実現することが急務です。

このように財務会計は新しい段階に突入しています。これからこの学問を修める人は、そのことを肝に銘じて、真実を見抜く目を養ってほしい。一番大切なものは目には見えません。心の目で探るものです。大学院では教員から教えてもらおうと思うのではなく、自分の力で学び取る姿勢を貫きましょう。確かに国家資格(公認会計士、税理士など)を取得しなければ社会で活躍するのは難しいですが、それは手段であって目的ではありません。その資格を手に入れて、自分は社会で何がしたいのかを明確にして学ぶことを忘れないでください。財務会計の世界は今、鋭い視点と明晰な頭脳を持ったエキスパートの登場を待望しています。