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上村 昌司 教授

上村 昌司 教授

上村 昌司 教授
KAMIMURA, Shoji
東京工業大学理学部情報科学科卒業。東京工業大学大学院情報理工学研究科数理・計算科学専攻修士課程修了、東京工業大学大学院情報理工学研究科数理・計算科学専攻博士後期課程修了、博士(理学)。訳書に『クレジットリスク』〈原著『Credit Risk』(D. Duffie and K.J.Singleton著)〉共立出版(2009年共訳)。

困難なリターンの研究に敢えて挑戦新たなファイナンス理論の道を探る

90年代頃から数学や統計学、コンピュータサイエンスを駆使したさまざまな金融商品の開発が行われるようになりました。応用数学を専攻していた私にもこの分野で何かできることがあるかもしれないと思い、現在はリスクとリターンの学問である「ファイナンス」の研究を行っています。

ここ何年かはリターンの研究に焦点を当てています。ひとつは多国籍企業の資本コストの研究です。リターンは投資をされる企業の側から見ると資本コストという概念になります。資本コストは企業が投資家に投資の見返りとして支払うコストです。そうであるならば、できるかぎり資本コストを減らしたい企業は、分散投資をすればリスクが減少するというファイナンスの基本的な理論に基づき、多国籍展開を進めることを考えるでしょう。ところが、多国籍企業と国内企業の資本コストを比較する実証分析を行うと、多国籍企業の資本コストのほうが小さいとは必ずしも言えないことが分かりました。いまはその原因がどこにあるのかを追求しているところです。

従来の投資理論の多くはリスクとリターンが正確に予測できることを前提としています。しかし、リターンは推定誤差が大きいため、リスクと比べると推定が困難であることが知られています。そうするとリターンの正確な予測を必要とする投資理論は上手く機能しないことになります。私はリターンの難しさについて研究をしながらも、逆にリターンの予測を回避したうえで、どのような投資戦略が考えられるかを研究しています。資本コストと投資戦略の2段構えで、実務に役立つ新たなファイナンス理論の知見を発見したいと希望しています。