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企業倫理研究センターで公開研究会を開催しました

2018年2月2日(金)、麗澤大学生涯教育プラザにて、企業倫理研究センター公開研究会が開催されました。今回の研究会では、髙巖教授(麗澤大学企業倫理研究センター長)、藤野真也氏(同センター研究員)、藤原達也氏(同センター研究協力者)の3氏により、「日本航空の破綻と再生―経営哲学の組織論的分析―」と題する報告がおこなわれました。

「100年に一度の大倒産とも言われるJALの経営破綻とその再生について、その因果連関を包括的かつ論理的な一貫性をもって説明することは、経営学を志す者の社会的責任である」。今回の研究会では、髙教授のこの言葉から口火が切られました。こうした認識のもと、3氏は「JAL破綻の真因を特定すること」「再生の理由を明確にすること」など、4つの研究目的を掲げ、それぞれについて緻密な研究の成果を報告されました。今回の報告で、特に意義深いと感じたのは、次の2点です。

第1に、JAL破綻の真因を特定するに際し、既に公になっている文献に留まらず、JALの社内資料などを丹念に読み込み、分析し、客観性のあるデータに真実を語らせていたこと。藤野氏の報告では「カネ(資金調達)」と「モノ(航空機材)」の視点より、また藤原氏の報告では「ヒト」の有効的活用という視点より、いずれも詳細なデータ分析に基づき、破綻前のJALが抱えていた構造的な問題を示しました。

第2に、「JAL再生」といった場合、それを「広義の再生」と「狭義の再生」に分けて議論が展開されていたこと。一般的に、JAL再生の立役者は京セラの稲盛和夫氏とされていますが、髙教授は、JAL再生の萌芽は破綻前から既に見られていたとし、特に破綻前最後の社長であった西松遙氏の取り組みを再評価し、その視点より、氏を「『狭義の再生』の重要な功労者である」と結論づけました。その上で、稲盛氏らによって進められたJAL再建の取り組みを「再上場以降の持続的成長に係わる『広義の再生』に大きな影響を与えたもの」と捉え、その意義を強調しました。
今回の研究会には、学内のメンバーに加え、学外の実務者や大学生などが参加し、質疑応答の時間には多くの質問や意見が飛び交いました。3氏の報告が、詳細なデータや数値を用いて行われていたこともあり、研究者からは会計的な側面や法的な側面からの質問が、また、実務者からは、会社再生における経営哲学の役割などについての質問が出されました。研究会が終了した後も報告者とフロアとの意見交換は続き、大変有意義な時間となりました。

  • (文責:麗澤大学大学院博士課程 大塚祐一)
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