学校教育研究科Graduate School of Education

学校教育研究科 修了生紹介

修了生紹介

社会で活躍する修了生の声

学校教育研究科1期生 2019年度修了生

城ケ崎 滋雄 さん
JOGASAKI, Shigeo

道徳を深く学ぶ。

「そもそも道徳とはなんだろう」ということを研究したいと思い、麗澤大学大学院学校教育研究科に入学しました。 教師としての日々の関心は、他教科と同じように道徳の授業の仕方に目が行きがちです。どんな授業が良いのか、発問はどうなのか、という教材研究が主となります。 しかし、道徳の原点は何なのか、誰が考えたのか、という根本的なことを学ぶことで、それが授業に活きると思い、徳目の基礎となる 、考えを知る基礎研究を学び直すために入学しました。
道徳教育専攻の授業は、理論や歴史など道徳を幅広く学ぶことができました。特に、授業を離れて道徳を見つめることができたことは、 これからの研究にとって有意義な学びとなりました。

恩師から学んだこと、そして実践へ

私の修士論文の指導教員である川久保剛先生からは、道徳についての裾野を広げるだけでなく、研究者としてのあり方、そして教師としてのあり方を教わりました。 日本の道徳思想の特質や広がりについて和辻哲郎氏を手掛かりに考えてみるというユニークな授業を通じて、修士論文の指導を受けました。 和辻氏の思想はもとより、和辻氏に関連する人物との関係が波紋のように広がる解説に毎回引き込まれました。 また、川久保先生は常にまず私の考えを受け入れてくださり、そして批判するのではなく、一つの確かな見解として受け止めてくだいました。 教える者として、また人としてのあり方を学びました。 こうした恩師との関係性を築いていく中で、私の意識も変化しました。 勤務校の授業で、児童が主体的に学びの場を展開するとき、児童の多面的・多角的な考え方を否定せず、まず受け入れ、そして導くということを意識するようになりました。

本学で学ぼうと考えていらっしゃる方へ

教育現場での道徳の授業の多くは、教科書を読んで内容項目の理解につなげる構成になっています。 しかし、私は教科書には必ずしも明確に書かれていないところにまで子供たちの思いをめぐらせて、内容項目の深い理解につなげること、 そしてそこから子供たちの多様な価値観を引き出す授業を目指しています。 そのためには教材分析力はもとより、内容項目の道徳そのものの深い理解がまず教師に求められると考えました。 そこで私は内容項目の歴史的な研究と同時に徳目の思想的な考察に取り組みました。 そうした研究を通じて、道徳の授業で取り上げる内容項目の背後にある道徳そのものの深い理解を前提にした授業づくりができるようになったと実感しています。 私は道徳教育専攻の2年間で、道徳授業だけを念頭に置いていた状況から一度頭を離した学びができました。道徳の本質的な学びができたことによって、子供たちの多様な価値観をそれまでより引き出せるようになったと思います。道徳教育専攻は、道徳の専門家から、研究者としての素地や意識を学べる場所だと思います。

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学校教育研究科1期生 2019年度修了生城ケ崎 滋雄 さん JOGASAKI, Shigeo

現在、千葉県公立学校に勤務。
修士論文科目:戦後道徳教育における「個人と共同体」ーその歴史学的・倫理学的考察ー

学校教育研究科2期生 2020年度修了生

石黒 真愁子 さん
ISHIKURO, Mayuko

道徳教育専攻で学修した大きな「学びの地図」

私は長年、「道徳と音楽との関連」をテーマに研究を続けてきました。しかし、主に自分の実践からの研究であったため、研究を続けていく中で不安がありました。 そんな中、2018年に日本で初めて麗澤大学大学院に学校教育研究科道徳教育専攻が誕生したことを知りました。 道徳教育専攻に入学し学ぶことができれば、自分が経験を通して研究したことの意味付けができ、 さらに、これまでの日本の道徳教育がどうであったか、世界の道徳教育がどのような状況なのか、 またどのような指導法が行われ今日に至るのかなど、体系的に道徳教育を学ぶことができるのではないかと思い、受験を決めました。

自分探しの旅、そして恩師との出会い

学校教育研究科での学修は、一言で表すことはとても難しいですが、今振り返ると、自分探しの旅でした。 様々な授業を通して、今までの自分の経験や研究を理論的に意味付けすることができました。 そして道徳そのものを学問的に広く深く学修できました。 広く深く学修できたのは、指導教員である井出元先生との出会いがとても大きかったです。 私にとって井出先生は灯台のような存在で、その明かりを指針としながら2年間努力を重ねてきました。 2年間の学びが終わった今、自分自身が根底から生まれかわって脱皮したように感じます。また道徳教育は師弟同行です。 自分が学び続ける姿勢が子供たちや教師を目指す大学生へ良い影響を与えていくものと思います。 井出先生との出会いは、これからの自分の人生の生き方の支えになっていくと確信しています。

暗中模索からの脱出

2年間の学修を経て、今まで自分がいかに狭い視野や空間だけで道徳教育を考えていたかに気づきました。 今思えば暗中模索だったと思います。しかし2年間の学修を通して、目の前には「学びの地図」が広がりました。 これからは道徳教育を俯瞰的に見つめ、広い視点から、児童・生徒・学生に接することができます。 また、2年間の学修で自分の中にぶれない軸を得ることができ、道徳教育の不易な部分がクリアになりました。 不易と流行の双方から、時代の要請と児童生徒の実態に応じた適切な指導方法を工夫改善し、さらに実践を重ねていきたいと思います。

最後に

おそらく現職の先生方の中には、入学前の私と同じように悩みや迷いを抱えながら道徳教育と向き合い、道徳教育を進めている方もいらっしゃるかもしれません。 麗澤大学大学院学校教育研究科道徳教育専攻では、体系的に道徳教育を学修することできるので、今まで経験でしかわからなかったことを意味付けすることができます。 そして、2年間の学修で大きな「学びの地図」を得ることができます。今後の学校教育現場だけでなく、自分の人生も大きく広げることができると思います。 私は、学校教育研究科での2年間の学びに感謝の気持ちでいっぱいです。熱心にご指導くださる心温かな先生方や、絵画のような美しいキャンパス、 そして、きめ細やかにご支援くださる大学院スタッフの方々等、本当に素晴らしい環境の中で学ばせていただきました。 道徳教育専攻修士課程は修了しましたが、これからもここで得た学修を土台に、さらなる研究を続けていきたいと思います。

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学校教育研究科2期生 2020年度修了生石黒 真愁子 さん ISHIKURO, Mayuko

現在、大学非常勤講師
修士論文科目:道徳教育と音楽教育との関連を図った道徳性の育成

学校教育研究科3期生 2021年度修了生

河田 光輔 さん
KAWATA, Kosuke

教員として「専門性」を磨きたい

道徳の時間の教科化を見据えて、当時の勤務校で3年間の道徳教育の研究が始まりました。私は道徳授業について学ぶため、他校での研究授業などに同僚と共に参加し、道徳授業の面白さにのめり込んでいきました。また、「社会平和に貢献したい」という思いで治安関係の職、そして教員へと転職してきた経緯もあって、「自分は『特別の教科 道徳』という分野で専門性を磨いていきたい」と思うようになっていきました。そのころに麗澤大学大学院に“日本初の道徳教育専攻”が設置されたこと、講義は主に土曜日で働きながら学べることを知り、「これだ!」と思い、受験することを決めました。

教育者・行政職と研究者の狭間で

小学校教員13年目にして、3年間の修士課程への挑戦が始まりました。院生1年目は、千葉県の研修生と同時進行の形で、研究活動と学校現場での授業を繰り返し、さまざまな情報を収集することができました。大学院の指導教員であり恩師である富岡栄先生と鈴木明雄先生からは、中学校教員や管理職として御活躍され、学習指導要領解説の作成にも携わられた御経験から、理論と実践を往還させて授業を改善していくことの大切さを改めて教えていただきました。大学院に同期で入学した経験豊富な先生方との意見交換は新鮮で、常に学びの連続でした。また、他科の留学生や博士課程の先輩との交流は貴重な体験であり、これまでに知ることのなかった生き方に触れる機会となりました。
院生2年目は、自身が学校現場から行政職へ異動したり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によってオンライン講義へ移行したりと、研究環境の変化に対応することに苦労しました。前期は、研究テーマを絞るために、指導教員との意見交換を何度も繰り返しました。後期は、先人の理論や実践記録を調べるため、麗澤大学図書館の職員の方々に御協力いただいたり、国立国会図書館に足を運んで先行研究を調べたりしました。調べ学んだ経験が自信となり、自分自身の心の支えとなっています。
院生3年目は、自ら期限を設け、修士論文を書き進めることに専念しました。これまでまともに論文を書いてこなかった私は、文章の書き方や構成に悩みました。そんな時、卒業された先輩が修士論文を送ってくださり、指導教員が何度も推敲してくださったお陰で、徐々に形になっていきました。また、指導教員からは常に“論の一貫性と整合性”を意識すること、引用する先行研究の(取捨選択の)重要性について教えていただき、研究者として、大切なことを経験を通して学ぶことができたと感じています。

人生一度、後悔なく!

もともと道徳教育や授業の経験が豊富ではない私が、その分野において造詣の深い方々と共に修士課程で学ぶことは、勇気のいることでした。しかし、さまざまな経験を有する同志と共に、道徳教育や授業、時には生き方について意見を交わし、自分とは異なる視点から物事を捉え、気付きを得て自分の研究や生き方に生かしていこうとする時間は、有意義でした。また、研究活動を通して自分の研究や教育への取組みに向き合う時間も、大変有意義でした。これらの時間は、まさに、道徳科の目標の一節にある「自己をみつめ、物事を多面的・多角的に考え、自己の生き方についての考えを深める学習」そのものであったと確信します。
私にとって、大学院での3年間は、周囲の方々の存在や支えに恵まれた時間であり、この気付きを得ることができた機会といえます。人生は一度しかありません。志望の動機は何であれ、道徳教育や麗澤大学大学院に興味関心のある方には、後悔のないような選択をしてほしいと思います。

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学校教育研究科3期生 2021年度修了生 河田 光輔 さん KAWATA, Kosuke

千葉県公立小学校勤務を経て、県庁勤務
修士論文科目:道徳科授業に生かす書く活動の研究

学校教育研究科3期生 2021年修了生

堀内 翼 さん
HORIUCHI, Tasuku

大学院受験の動機や経緯

人生の歩みをどう進めていけばいいのか。これは自分が教員という枠組みではなく一人の人間として、学生のときより感じていたことです。専門教科が数学であるため、大学では数学を中心として勉強を行っていました。それとともに、人を育てていく、その目的や、生徒に向き合う人としてどういった人間であればいいのかを常に考えていました。
教員となり、担任業務を行う中で、道徳の授業を要として広く学校教育全般に関わる深い部分での理解が、教育の現場ではとても重要なのではないのか、と考えるようになりました。そのような疑問を抱く中で、実践的な指導の中に理論的に説明できることが自分に自信をもち生徒と関わることにつながるのではないかと考えるようになりました。
そこで道徳教育に関する疑問を一つひとつ明らかにしたいと覚悟を決め、入学を決意しました。

大学院で研究したことや学んだこと、経験したこと

「自覚」との出会い。大学院では教育哲学的、教育思想史的な研究を森信三を中心に行いました。これは自分の人生の中で、“はじめて”を連続的に経験することになりました。どう文献を読んでいけばいいのか、教育哲学的、教育思想史的な研究手法が自分の疑問に適しているかどうかも含め、麗澤大学大学院の先生方には非常に手厚くサポートをいただきました。そこで出会ったのが「自覚」という言葉です。指導教官の川久保先生と、森信三の初期の哲学書を読み進めていく中で、当初は一行を読むことも困難であった中、徐々に大枠の体系や概念をつかめるようになりました。「研究が楽しい」「疑問に対して自分の中で答えを見いだせる」といった何ともいえないわくわく感がありました。
今までの自分の人生は、高い場所から世の中を見てみたい、そのために色々な経験が大切だと考えていました。しかし、この二年間は考え方の向きを変え、広くてより深い世界から教育の現場を見られるようになってきました。
そして経験を積みながらの実際の生徒との関わりは、とても新鮮で大切なものになっていきました。
森信三は「自覚」とは「天人合一の一点」と記しています。教員としての使命感、自分が自分らしく人生を歩むこと、ここでの経験が本当に貴重なものとなりました。

これから受験をする学校教員へのメッセージ

中学校の現場にいながら研究を行うことは日々の授業に加え、部活動指導もあり、大変な時期がありました。また、県外からの大学院への通学は時間の制約も伴い、大学院の方々のご配慮もなければ二年間で卒業することはできませんでした。ですが、自分が抱く疑問や研究をしたいことを真摯に受け止め、研究を進めていただける環境が麗澤大学大学院にはあります。
自分が研究を行っていた分野は教育哲学に関する内容でした。授業に関する研究ではありませんでしたが、教育哲学や教育思想史の研究を行うことができます。部活動があったり、県外からの通学があったりしても、自分と同様に学ばれている先生方もいます。
一緒に麗澤での学びを経験してみませんか。

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学校教育研究科3期生 2021年修了生 堀内 翼 さん HORIUCHI, Tasuku

現在、長野県公立中学校教諭
修士論文科目:森信三〜「無」の思想から教師論へ〜

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