11月22日(日)および12月4日(日)に、第1回および第2回道徳教育学セミナーを開催いたしました。今年度は新型コロナウイルス感染防止対策のため、オンラインでの開催となりました。
第1回は55名、第2回は45名の方が全国から参加されました。講師による講演の後、パネルディスカッションやフロアを交えての意見交換も行われ、盛会のセミナーとなりました。以下、各セミナーの報告です。
<第1回道徳教育学セミナー>
東京学芸大学院教授・日本道徳教育学会会長 永田繁雄先生を講師に迎え、テーマ「道徳科の学習指導過程論」にて、講演とパネルディスカッションが行われました。講演では、永田先生は副題「魅力ある活力のある道徳授業を創るために」を掲げ、道徳の時間が昭和・平成・令和を経て「特別の教科 道徳(道徳科)」となった経過、経験主義と系統主義の学習指導過程の融合の経緯を話されました。そして元文部省道徳教科調査官である井上治郎氏の資料即生活論と青木孝頼氏の価値の一般化論を振り返られ、令和に求められる道徳授業の在り方を提示されました。更に新学習指導要領が求める資質・能力の主体的な学びと対話的な学びが深い学びを創る過程を分析され、道徳科では子供が問題意識を持ち自分事にしなければ深い学びが生まれないことを構造的に述べられました。講演後のパネルディスカッションでは、本院大学院の学校教育研究科道徳教育専攻修士課程の第1期修了生の坂口幸恵さん(元校長、現在江戸川区教育委員会で教員研修等を企画運営)と、同じく第1期修了生の松原好広さん(現役小学校長、東京都小学校道徳教育研究会調査部長)がパネリストとなり意見交換が行われ、永田先生の論を踏まえて、両パネラーが自分の学習指導過程論を展開しました。リモート型でありましたがフロアの意見もあり、盛況なセミナーとなりました。
<第2回道徳教育学セミナー>
兵庫教育大学大学院教授・日本道徳教育方法学会会長 谷田増幸先生を講師に迎え、学習過程論、評価、これからの道徳教育の方向性について50分程の講演をいただきました。そしてこの内容を受けつつ、本学大学院の学校教育研究科道徳教育専攻修士課程2年次生の2名がパネリストになり、自らの実践をベースとした学習過程論や現在修論で取り組んでいる内容を絡めた学習過程論についての自説を述べました。その後、パネラー3名が互いに意見交流を図った後、フロアも交えて討議を行いました。テーマが学習過程論であることから、様々な過程論が論ぜられる中で、硬直化は避けたいとの方向性で意見の一致が見られました。さらに学習過程は、教師の指導方法や評価との関係でも論ぜられるべきで、これらのファクターの重要性も指摘されました。第2回道徳教育学セミナーも盛会なセミナーとなりました。