中山理特任教授が旭川道徳教育振興会と若者対象の道徳教育セミナーで講演を行いました。
まず去る7月29日、中山教授は北海道旭川市で旭川道徳教育振興会が主催した有識者懇談会で「道徳教育と人格教育」をテーマに基調講演を行いました。
中山教授は、①道徳教育の現状と特別の教科「道徳」の視点、②海外の道徳教育、③人格教育(character education)実践校の視察という3つのポイントを掲げ、理論だけではなく、欧米の大学との学術交流や自己の体験談を交え、「グローバル時代の道徳教育とは何か」について新しい道徳教育の在り方を聴衆に訴えました。
旭川道徳教育振興会は(株)CtoCグループの会長の落合博志氏が代表理事をつとめ、旭川市における道徳教育をより充実し、さらに盛んにするために設立された一般財団法人です。当日の懇談会には、同振興会の理事や評議員である行政関係者、もと小学校の校長であった学校教育関係者、道徳教育の振興に賛同する会社経営者などの有識者が参加し、講演の内容についてのコメントや質疑応答など、積極的な意見交換がおこなわれました。
同振興会は今後も道徳教育セミナー(8月8日 野口芳宏氏「家庭における道徳教育」)などを主催し、旭川市の道徳教育の発展を支援する予定です。
- 基調講演の様子
- 講演に聞き入る参加者
翌日の30日には、地域の若者を対象にした道徳教育セミナーが開催され、中山教授は「正しい歴史観を考える」をテーマに講演を行いました。ちょうど8月15日に終戦記念日を迎えることから、当時は「大東亜戦争」と言われていた「太平洋戦争」をテーマに、真珠湾攻撃、広島・長崎の原爆投下、日本に戦争責任を裁いた「東京裁判」など、近代史に関する現代日本人の歴史観形成の原点について、日米の史料をもとに比較文化的、国際法的な視点から解説しました。そしてイデオロギー的な歴史観ではなく、相対的で科学的な歴史観をもち、大いに議論することの大切さを強調しました。聴衆の中には親子づれの参加者もあり、その中の一人で日本史の科目を履修した学生からは「日本国憲法改正は是か非か」についての鋭い質問がでました。この勉強会の最年少の参加者は、小学5年生でしたが講演に熱心に耳を傾けていました。
なお、両会場ともコロナ予防の対策がとられ、講演者は聴衆と十分に距離をとった上でフェイスマスクを、聴衆はマスクを着用した中で講演と質疑応答が行われました。