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日本語教育学専攻の紹介

日本語教育を「研究」する人材の育成

言語教育の基礎は「ことば」と「ことばの学習」に対する理解を深めることにあります。
日本語教育学専攻では、「ことば」と「ことばの学習」を科学的に分析する力、日本語教育の内容と方法について科学的に考える力を養い、専門的知識を身につけた日本語教師を育成、またそのリカレントにも取り組みます。

研究のポイント

少人数教育による実践的指導

日本語教育は様々な領域の研究に支えられています。日本語教師は日本語を教えるだけでなく、日本語教育を支える研究の一翼を担うことが求められます。研究とは、データを収集整理してそこから何かを発見し、それを人に伝える営みです。日本語教育学専攻では、少人数教育の実践的指導により、日本語教育研究の一翼を担える人材を育成します。

最先端の研究に触れながら学ぶ

日本語教育の内容と方法を考える際には、日本語の性質を客観的に把握するとともに、学習者の母語や日本語習得のプロセスを考慮することが重要です。日本語教育学専攻には、大量の言語資料を集積した「コーパス」を活用した日本語研究、対照言語学、第二言語習得研究の第一線の研究者が集まっており、最先端の研究に触れながら学ぶことができます。

他専攻とのコラボレーション

日本語教師には幅広い知識が求められます。言語教育研究科には、日本語教育学専攻のほか、比較文明文化専攻、英語教育専攻があり、グローバルな視野からの文化・社会に関する研究、先端的な言語教育研究に触れることができます。

研究活動

学会は研鑽の場 新たな発想を得る機会。

研究は独りで進めているだけでは、その成果を測ることはできません。他者に対して発表することで初めて知ることができます。その代表的な場が学会発表です。学会にはそれぞれの学問分野を代表する著名な研究者から、まだ研究者としての入口に立ったばかりの院生まで、幅広いキャリアの人々が参加します。研究の成果を発表し、意見・質問をぶつけ、ディスカッションが行われる学会は、研究者にとっては研鑽の場であり、ある種、対外試合のような緊張感のある場です。また、一方で同じ研究分野の研究者から、貴重なアドバイスをもらったり、交流を持った研究者同士で研究グループを作って、共に情報交換を行うような機会にもなっています。日本語教育学専攻でも、国外・国内の大学で学会発表を行い、様々な成果を上げている院生が何人もいます。どの院生も学会発表を経て、着実に研究の内容が緻密にそしてダイナミックに進化しています。

ディスカッションを重ねながら、教室活動を考える。

言語の教授法を研究していく際、「まず模擬授業をやってみる」のではなく、これまでの研究成果を踏まえてディスカッションを重ねた上で教室活動を考えます。模擬授業を行った後は、結果に基づきさらにディスカッションを重ねます。このプロセスを繰り返すことで、より効果的な教室活動や授業設計ができるようになります。教授法に関する研究と実践は日々世界中で行われています。そうした研究成果を批判的に検証し、そこから生まれたものを自分の研究の中に取り入れて実践、さらなる問題点などを検証するという姿勢が、現代の教育現場に有効な教授法を考える糸口となるのです。

研究室訪問

言語表現の差異を正確に捉える努力を。

杉浦 滋子 教授 杉浦 滋子 教授
SUGIURA, Shigeko
東京大学大学院人文科学研究科修士課程言語学専攻修了。
米国ジョージタウン大学大学院言語学専攻博士課程修了。
論文に`The Loss of a formaldistinction and its repercussions: the case of thefinite form and the noun-modifying form’,Language and Civilization Vol.5(2007)、「日本語諸方言における終助詞ガー『全国方言談話データベース 日本のふるさとことば集成』をデータとしてー」『言語と文明』第14巻(2016)など

客観的に考察する姿勢が大切。

日本語教師を目指す院生たちが学ぶこのゼミでは、言語の比較対照に重点を置いて学ぶように指導しています。それは母語と他言語だけにとどまらず、母語でも自分と異なる年齢の人が話す言葉との差異や、違う地方で暮らす人の言葉との違いなど、多岐にわたります。“ことば” を教える職業に就く以上、教科書の内容を伝えるだけでなく、客観的に考察して探究する姿勢で、日本語学習者に向き合うことが大切です。自らが模範となり、後進に学ぶ姿勢を伝授してほしいと望んでいます。

ファーストコンタクトに固執せずに。

私たちが個々に研究しているテーマは、過去からのさまざまな研究の流れの中にあるという意識を常に持ち、自分の研究テーマと関連する領域にも目を配るようにと、院生には言っています。自身の研究テーマばかりに固執して狭い視野でいると、何か重要なものを取り落とす危険性がありますから。また、陥りがちなのは最初に出会って触発された論文に影響されるということ。一歩離れて客観的に見つめる訓練を積まないと、研究は広がりませんし、独自の結論を導き出せません。連さんの研究は容易には進められない部分も含んでいますが、その点に留意して修士論文をまとめてほしいと思っています。

研究室訪問

正誤を超えたなめらかさを作り出すものとは。

連 婷 さん 連 婷 さん
LIAN, Ting
言語教育研究科 日本語教育学専攻(修士課程)2年
中国・西安出身。日本に親戚がいたことなどで日本語に関心を持つ。修士課程を修了後は、帰国して日本語教師になるのが目標。現地の中学校などでは、英語よりも日本語の学習が盛んだという。

言語データベース「コーパス」を活用。

日本語の終助詞「ね」の研究をしています。来日後のアルバイト先で、日本人が会話に使うこの終助詞が何とも語感が柔らかく、可愛らしかったのが研究を進めるきっかけになりました。研究では、様々な国籍と学習レベルの学習者のインタビューを集めた学習者データベースを活用し、会話における「ね」の使用頻度と正用、誤用を調査しています。現在のところ、上級者の使用が顕著だというデータを抽出しましたが、どんなときに「ね」を使うのが正しいのかはまだ判然としません。どこの国の言葉もそうですが、言語の研究は簡単には行きませんね。

ひとつの小さな終助詞に見る複雑な使用法。

杉浦先生は、私たち留学生に対してホワイトボードに図表を描いてくれるなど、とても理解しやすく説明してくれます。また、私の研究テーマに関係のある先行研究の論文を紹介してくれるので、とても参考になります。先生の導きを受けながら、相手に何かを確認する場合に使用するケースが多い終助詞「ね」と向き合い、私なりに満足のいく結論を示そうと格闘中。たった一つの助詞であっても、そこに込められている意味は複雑であることを噛みしめながら、今日も日本語の研究に取り組んでいます。